日本独自の美意識から生まれた「ジャパニーズ・モダン・デザイン」
家紋とは、古くから日本で使われてきた、家系や家柄、地位などを表ために、輿車や旗、幕、盾、武具、衣服などのに用いられてきた紋章です。
日本の家紋の特長は、ほぼ単色に近く平面的で単純化されたモチーフ表現にあります。
研ぎすまされたそのデザインはまさに世界に誇る「ジャパニーズ・モダン」。
家紋の起源
家紋の起源は、平安時代まで遡ります。
奈良時代から調度や器物には装飾目的として様々な文様が描かれていました。平安時代になると文様を描くことは美しさだけでなく、公家(貴族)といった朝廷に仕える人々が各家固有の目印としての意味合いを帯びてきたのが「家紋」始まりと言われています。
また、武士の「家紋」の登場は平安時代末期、戦場での自己アピール方法の1つとして、固有の図象を旗幕、幔幕にあしらったことが、その始まりと云われています。
戦国時代が終わり太平の世となった江戸時代では、合戦における敵味方の区別のように実用的だった家紋の役割は変化していき、一種の権威の象徴となりました。
また、苗字の許されない身分であっても家紋を持つことは許されていた為、百姓や町人、役者など貴族や武士以外にも家紋は広く普及すると共に、デザイン性の高い華美で優美な形に整っていき多くの名作が誕生したのもこの時代です。
また、江戸末期のヨーロッパにおけるジャポニズムの流行の中で、家紋の洗練されたデザイン性が国際的に高く評価され、西洋絵画の中にも登場しています。
日本には非常に多くの家紋が存在しています。
その元になる原型は約200種。そして何百年という年月の中で様々な理由や思いから発展を続けた家紋デザインは、現在、5,000種とも10,000種とも云われるほど多く存在するようになったのです。
そんな中から、戦国武将として名を上げ武士として有名な4つの家紋を
紹介したいと思います。
徳川家の「葵紋」 京都の賀茂神社の神事に用いられてきた二葉葵が原型と云われています。葵紋は古くから多くの武家の家紋として用いられてきましたが、徳川家康が征夷大将軍となってから権威ある紋として、一般の使用を禁止し、将軍家と御三家および親藩の一部だけに葵を用いることが許されました。あの水戸黄門で有名な御三家の一つ水戸家の家紋も「葵紋」です。印籠に刻まれていますね。 |
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真田家の「六文銭」 六連銭は三途の川を渡る渡船料のこと。決死の覚悟の表れとしてこの六連銭を家紋にしたと云われています。また、この家紋は真田家の家紋として有名ですが、他にも海野氏や深井氏もこの家紋を使っています。 |
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明智家の「桔梗紋」 桔梗紋は土岐氏の代表紋です。その土岐氏の流れを汲む明智光秀が用いたことで有名な紋です。桔梗とは秋の七草の一つで紫色の美しい花であり、その優美な姿から代表的な女紋の一つともされています。 |
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毛利家の「三つ星紋」 オリオン座中央の三つ星を意味すると云われています。また、この三つ星は将軍星とも呼ばれ武将に好まれた紋の一つでもあります。 |